友として遊ぶものなき
性悪の巡査の子等も
あはれなりけり
[it-i084] 煙 – 二 (37)
あはれ我がノスタルジヤは
金のごと
心に照れり清くしみらに
[it-i083] 煙 – 二 (36)
馬鈴薯のうす紫の花に降る
雨を思へり
都の雨に
[it-i082] 煙 – 二 (35)
ほたる狩
川にゆかむといふ我を
山路にさそふ人にてありき
[it-i081] 煙 – 二 (34)
年ごとに肺病やみの殖えてゆく
村に迎へし
若き医者かな
[it-i080] 煙 – 二 (33)
酒のめば
刀をぬきて妻を逐ふ教師もありき
村を遂はれき
[it-i079] 煙 – 二 (32)
我ゆきて手をとれば
泣きてしづまりき
酔ひて荒れしそのかみの友
[it-i078] 煙 – 二 (31)
わが従兄
野山の猟に飽きし後
酒のみ家売り病みて死にしかな
[it-i077] 煙 – 二 (30)
小心の役場の書記の
気の狂れし噂に立てる
ふるさとの秋
[it-i076] 煙 – 二 (29)
宗次郎に
おかねが泣きて口説き居り
大根の花白きゆふぐれ