酒のめば鬼のごとくに青かりし
大いなる顔よ
かなしき顔よ
Monthly Archives: 12月 1910
[it-i153] 忘れがたき人人 – 一 (52)
平手もて
吹雪にぬれし顔を拭く
友共産を主義とせりけり
[it-i152] 忘れがたき人人 – 一 (51)
わが妻に着物縫はせし友ありし
冬早く来る
植民地かな
[it-i151] 忘れがたき人人 – 一 (50)
あはれかの眉の秀でし少年よ
弟と呼べば
はつかに笑みしが
[it-i150] 忘れがたき人人 – 一 (49)
あらそひて
いたく憎みて別れたる
友をなつかしく思ふ日も来ぬ
[it-i149] 忘れがたき人人 – 一 (48)
汝三度
この咽喉に剣を擬したりと
彼告別の辞に言へりけり
[it-i148] 忘れがたき人人 – 一 (47)
殴らむといふに
殴れとつめよせし
昔の我のいとほしきかな
[it-i147] 忘れがたき人人 – 一 (46)
負けたるも我にてありき
あらそひの因も我なりしと
今は思へり
[it-i146] 忘れがたき人人 – 一 (45)
椅子をもて我を撃たむと身構へし
かの友の酔ひも
今は醒めつらむ
[it-i145] 忘れがたき人人 – 一 (44)
かの年のかの新聞の
初雪の記事を書きしは
我なりしかな