曠野ゆく汽車のごとくに、
このなやみ、
ときどき我の心を通る。
Category Archives: 短歌
[it-k004] 咽喉がかわき
咽喉がかわき、
まだ起きてゐる果物屋を探しに行きぬ。
秋の夜ふけに。
[it-i063] 煙 – 二 (16)
石をもて追はるるごとく
ふるさとを出でしかなしみ
消ゆる時なし
[it-i041] 煙 – 一 (41)
夢さめてふっと悲しむ
わが眠り
昔のごとく安からぬかな
[it-i012] 煙 – 一 (12)
よく叱る師ありき
髯の似たるより山羊と名づけて
口真似もしき
[it-k096] 何となく自分をえらい人のやうに
何となく自分をえらい人のやうに
思ひてゐたりき。
子供なりしかな。
[it-k131] ふるさとの寺の畔の
ふるさとの寺の畔の
ひばの木の
いただきに来て啼きし閑古鳥!
[it-k013] うっとりと
うっとりと
本の挿絵に眺め入り、
煙草の煙吹きかけてみる。
[it-i227] 忘れがたき人人 – 二 (15)
かの声を最一度聴かば
すっきりと
胸や霽れむと今朝も思へる
[it-k061] 百姓の多くは酒をやめしといふ
百姓の多くは酒をやめしといふ。
もっと困らば、
何をやめるらむ。