雪のなか
処処に屋根見えて
煙突の煙うすくも空にまよへり
Category Archives: 短歌
[it-k100] ぼんやりとした悲しみが
ぼんやりとした悲しみが、
夜となれば、
寝台の上にそっと来て乗る。
[it-k036] 昨日まで朝から晩まで張りつめし
昨日まで朝から晩まで張りつめし
あのこころもち
忘れじと思へど。
[it-i156] 忘れがたき人人 – 一 (55)
治まれる世の事無さに
飽きたりといひし頃こそ
かなしかりけれ
[it-k008] 家を出て五町ばかりは
家を出て五町ばかりは、
用のある人のごとくに
歩いてみたれど――
[it-k066] ひと晩に咲かせてみむと
ひと晩に咲かせてみむと、
梅の鉢を火に焙りしが、
咲かざりしかな。
[it-k030] 考へれば
考へれば、
ほんとに欲しと思ふこと有るやうで無し。
煙管をみがく。
[it-k104] 看護婦の徹夜するまで
看護婦の徹夜するまで、
わが病ひ、
わるくなれとも、ひそかに願へる。
[it-i159] 忘れがたき人人 – 一 (58)
子を負ひて
雪の吹き入る停車場に
われ見送りし妻の眉かな
[it-k025] みすぼらしき郷里の新聞ひろげつつ
みすぼらしき郷里の新聞ひろげつつ、
誤植ひろへり。
今朝のかなしみ。