病のごと
思郷のこころ湧く日なり
目にあをぞらの煙かなしも
Category Archives: 石川啄木
[it-i033] 煙 – 一 (33)
田舎めく旅の姿を
三日ばかり都に曝し
かへる友かな
[it-i065] 煙 – 二 (18)
ふるさとの
村医の妻のつつましき櫛巻なども
なつかしきかな
[it-i097] 煙 – 二 (50)
見もしらぬ女教師が
そのかみの
わが学舎の窓に立てるかな
[it-i129] 忘れがたき人人 – 一 (28)
若くして
数人の父となりし友
子なきがごとく酔へばうたひき
[it-i161] 忘れがたき人人 – 一 (60)
ゆるぎ出づる汽車の窓より
人先に顔を引きしも
負けざらむため
[it-i193] 忘れがたき人人 – 一 (92)
舞へといへば立ちて舞ひにき
おのづから
悪酒の酔ひにたふるるまでも
[it-i225] 忘れがたき人人 – 二 (13)
病むと聞き
癒えしと聞きて
四百里のこなたに我はうつつなかりし
[it-i012] 煙 – 一 (12)
よく叱る師ありき
髯の似たるより山羊と名づけて
口真似もしき
[it-i044] 煙 – 一 (44)
わが妻のむかしの願ひ
音楽のことにかかりき
今はうたはず