氷嚢のとけて温めば、
おのづから目がさめ来り、
からだ痛める。
Tag Archives: 目
[it-k114] 春の雪みだれて降るを
春の雪みだれて降るを
熱のある目に
かなしくも眺め入りたる。
[it-k089] 真夜中にふと目がさめて
真夜中にふと目がさめて、
わけもなく泣きたくなりて、
蒲団をかぶれる。
[it-k086] ドア推してひと足出れば
ドア推してひと足出れば、
病人の目にはてもなき
長廊下かな。
[it-k012] 何となく
何となく、
今朝は少しく、わが心明るきごとし。
手の爪を切る。
何となく、
今年はよい事あるごとし。
元日の朝、晴れて風無し。
何となく、
案外に多き気もせらる、
自分と同じこと思ふ人。
何となく、
自分を嘘のかたまりの如く思ひて、
目をばつぶれる。
[it-i001] 煙 – 一 (1)
病のごと
思郷のこころ湧く日なり
目にあをぞらの煙かなしも
[it-i064] 煙 – 二 (17)
やはらかに柳あをめる
北上の岸辺目に見ゆ
泣けとごとくに
[it-i072] 煙 – 二 (25)
大形の被布の模様の赤き花
今も目に見ゆ
六歳の日の恋
[it-i108] 忘れがたき人人 – 一 (7)
目を閉ぢて
傷心の句を誦してゐし
友の手紙のおどけ悲しも
[it-i217] 忘れがたき人人 – 二 (5)
世の中の明るさのみを吸ふごとき
黒き瞳の
今も目にあり