松林の中を歩いて
あかるい気分の珈琲店をみた。
遠く市街を離れたところで
だれも訪づれてくるひとさへなく
林間の かくされた 追憶の夢の中の珈琲店である。
をとめは恋恋の羞をふくんで
あけぼののやうに爽快な 別製の皿を運んでくる仕組
私はゆつたりとふほふくを取つて
おむれつ ふらいの類を喰べた。
空には白い雲が浮んで
たいそう閑雅な食慾である。
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[it-i207] 忘れがたき人人 – 一 (106)
神のごと
遠く姿をあらはせる
阿寒の山の雪のあけぼの
[st-w25] 三 生のあけぼの – 二 あけぼの
紅細くたなびけたる
雲とならばやあけぼのの
雲とならばや
やみを出でては光ある
空とならばやあけぼのの
空とならばや
春の光を彩れる
水とならばやあけぼのの
水とならばや
鳩に履まれてやはらかき
草とならばやあけぼのの
草とならばや