[hs-t11] 雲雀料理 –

五月の朝の新緑と薫風は私の生活を貴族にする。したたる空色の窓の下で、私の愛する女と共に純銀のふおうくを動かしたい。私の生活にもいつかは一度、あの空に光る、雲雀料理の愛の皿を盗んで喰べたい。

[hs-t20] 雲雀料理 – 焦心

霜ふりてすこしつめたき朝を、
手に雲雀料理をささげつつ歩みゆく少女あり、
そのとき並木にもたれ、
白粉もてぬられたる女のほそき指と指との隙間をよくよく窺ひ、
このうまき雲雀料理をば盗み喰べんと欲して、
しきりにも焦心し、
あるひとのごときはあまりに焦心し、まつたく合掌せるにおよべり。