ここの海岸には草も生えない
なんといふさびしい海岸だ
かうしてしづかに浪を見ていると
浪の上に浪がかさなり
浪の上に白い夕方の月がうかんでくるやうだ
ただひとり出でて磯馴れ松の木をながめ
空にうかべる島と船とをながめ
私はながく手足をのばして寝ころんでいる
ながく呼べどもかへらざる幸福のかげをもとめ
沖に向つて眺望する。
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[it-i107] 忘れがたき人人 – 一 (6)
船に酔ひてやさしくなれる
いもうとの眼見ゆ
津軽の海を思へば
[it-i205] 忘れがたき人人 – 一 (104)
波もなき二月の湾に
白塗の
外国船が低く浮かべり