死ぬばかり我が酔ふをまちて
いろいろの
かなしきことを囁きし人
Monthly Archives: 12月 1910
[it-i193] 忘れがたき人人 – 一 (92)
舞へといへば立ちて舞ひにき
おのづから
悪酒の酔ひにたふるるまでも
[it-i192] 忘れがたき人人 – 一 (91)
芸事も顔も
かれより優れたる
女あしざまに我を言へりとか
[it-i191] 忘れがたき人人 – 一 (90)
死にたくはないかと言へば
これ見よと
咽喉の痍を見せし女かな
[it-i190] 忘れがたき人人 – 一 (89)
よりそひて
深夜の雪の中に立つ
女の右手のあたたかさかな
[it-i189] 忘れがたき人人 – 一 (88)
小奴といひし女の
やはらかき
耳朶なども忘れがたかり
[it-i188] 忘れがたき人人 – 一 (87)
わが酔ひに心いためて
うたはざる女ありしが
いかになれるや
[it-i187] 忘れがたき人人 – 一 (86)
出しぬけの女の笑ひ
身に沁みき
厨に酒の凍る真夜中
[it-i186] 忘れがたき人人 – 一 (85)
酒のめば悲しみ一時に湧き来るを
寐て夢みぬを
うれしとはせし
[it-i185] 忘れがたき人人 – 一 (84)
あはれかの国のはてにて
酒のみき
かなしみの滓を啜るごとくに