手を打ちて
眠気の返事きくまでの
そのもどかしさに似たるもどかしさ!
Monthly Archives: 6月 1912
[it-k049] ぢっとして
ぢっとして、
蜜柑のつゆに染まりたる爪を見つむる
心もとなさ!
[it-k048] それとなく
それとなく
その由るところ悲しまる、
元日の午後の眠たき心。
[it-k047] 過ぎゆける一年のつかれ出しものか
過ぎゆける一年のつかれ出しものか、
元日といふに
うとうと眠し。
[it-k046] 何となく明日はよき事あるごとく
何となく明日はよき事あるごとく
思ふ心を
叱りて眠る。
[it-k045] 青塗の瀬戸の火鉢によりかかり
青塗の瀬戸の火鉢によりかかり、
眼閉ぢ、眼を開け、
時を惜めり。
[it-k044] ぢりぢりと
ぢりぢりと、
蝋燭の燃えつくるごとく、
夜となりたる大晦日かな。
[it-k043] いつまでか
いつまでか、
この見飽きたる懸額を
このまま懸けておくことやらむ。
[it-k042] 人がみな
人がみな
同じ方角に向いて行く。
それを横より見てゐる心。
[it-k041] 世におこなひがたき事のみ考へる
世におこなひがたき事のみ考へる
われの頭よ!
今年もしかるか。