正月の四日になりて
あの人の
年に一度の葉書も来にけり。
Monthly Archives: 6月 1912
[it-k039] いつの年も
いつの年も、
似たよな歌を二つ三つ
年賀の文に書いてよこす友。
[it-k038] 腹の底より欠伸もよほし
腹の底より欠伸もよほし
ながながと欠伸してみぬ、
今年の元日。
[it-k037] 戸の面には羽子突く音す
戸の面には羽子突く音す。
笑う声す。
去年の正月にかへれるごとし。
[it-k036] 昨日まで朝から晩まで張りつめし
昨日まで朝から晩まで張りつめし
あのこころもち
忘れじと思へど。
[it-k035] 年明けてゆるめる心!
年明けてゆるめる心!
うっとりと
来し方をすべて忘れしごとし。
[it-k034] よごれたる手を洗ひし時の
よごれたる手を洗ひし時の
かすかなる満足が
今日の満足なりき。
[it-k033] よごれたる手をみる
よごれたる手をみる――
ちゃうど
この頃の自分の心に対ふがごとし。
[it-k032] 朝寝して新聞読む間なかりしを
朝寝して新聞読む間なかりしを
負債のごとく
今日も感ずる。
[it-k031] 今日ひょいと山が恋しくて
今日ひょいと山が恋しくて
山に来ぬ。
去年腰掛けし石をさがすかな。