函館の臥牛の山の半腹の
碑の漢詩も
なかば忘れぬ
Author Archives: 石川啄木
[it-i119] 忘れがたき人人 – 一 (18)
いくたびか死なむとしては
死なざりし
わが来しかたのをかしく悲し
[it-i131] 忘れがたき人人 – 一 (30)
呻噛み
夜汽車の窓に別れたる
別れが今は物足らぬかな
[it-i132] 忘れがたき人人 – 一 (31)
雨に濡れし夜汽車の窓に
映りたる
山間の町のともしびの色
[it-i133] 忘れがたき人人 – 一 (32)
雨つよく降る夜の汽車の
たえまなく雫流るる
窓硝子かな
[it-i145] 忘れがたき人人 – 一 (44)
かの年のかの新聞の
初雪の記事を書きしは
我なりしかな
[it-i144] 忘れがたき人人 – 一 (43)
汝が痩せしからだはすべて
謀叛気のかたまりなりと
いはれてしこと
[it-i143] 忘れがたき人人 – 一 (42)
世わたりの拙きことを
ひそかにも
誇りとしたる我にやはあらぬ
[it-i142] 忘れがたき人人 – 一 (41)
いささかの銭借りてゆきし
わが友の
後姿の肩の雪かな
[it-i141] 忘れがたき人人 – 一 (40)
泣くがごと首ふるはせて
手の相を見せよといひし
易者もありき