考へれば、
ほんとに欲しと思ふこと有るやうで無し。
煙管をみがく。
Monthly Archives: 6月 1912
[it-k029] 新しき明日の来るを信ずといふ
新しき明日の来るを信ずといふ
自分の言葉に
嘘はなけれど――
[it-k028] なつかしき
なつかしき
故郷にかへる思ひあり、
久し振りにて汽車に乗りしに。
[it-k027] 何がなく
何がなく
初恋人のおくつきに詣づるごとし。
郊外に来ぬ。
[it-k026] 誰か我を
誰か我を
思ふ存分叱りつくる人あれと思ふ。
何の心ぞ。
[it-k025] みすぼらしき郷里の新聞ひろげつつ
みすぼらしき郷里の新聞ひろげつつ、
誤植ひろへり。
今朝のかなしみ。
[it-k024] 曠野ゆく汽車のごとくに
曠野ゆく汽車のごとくに、
このなやみ、
ときどき我の心を通る。
[it-k023] 朝な朝な
朝な朝な
撫でてかなしむ、
下にして寝た方の腿のかろきしびれを。
[it-k022] 手も足もはなればなれにあるごとき
手も足もはなればなれにあるごとき
ものうき寝覚!
かなしき寝覚!
[it-k021] どうなりと勝手になれといふごとき
どうなりと勝手になれといふごとき
わがこのごろを
ひとり恐るる。