誰か我を
思ふ存分叱りつくる人あれと思ふ。
何の心ぞ。
Tag Archives: 誰
[it-k052] すっぽりと蒲団をかぶり
すっぽりと蒲団をかぶり、
足をちぢめ、
舌を出してみぬ、誰にともなしに。
[it-i228] 忘れがたき人人 – 二 (16)
いそがしき生活のなかの
時折のこの物おもひ
誰のためぞも
[st-w03] 一 秋の思 – 初恋
まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり
やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり
わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の杯を
君が情に酌みしかな
林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ
[st-w15] 一 秋の思 – 別離
人妻をしたへる男の山に登り其
女の家を望み見てうたへるうた
誰かとゞめん旅人の
あすは雲間に隠るゝを
誰か聞くらん旅人の
あすは別れと告げましを
清き恋とや片し貝
われのみものを思ふより
恋はあふれて濁るとも
君に涙をかけましを
人妻恋ふる悲しさを
君がなさけに知りもせば
せめてはわれを罪人と
呼びたまふこそうれしけれ
あやめもしらぬ憂しや身は
くるしきこひの牢獄より
罪の鞭責をのがれいで
こひて死なんと思ふなり
誰かは花をたづねざる
誰かは色彩に迷はざる
誰かは前にさける見て
花を摘まんと思はざる
恋の花にも戯るゝ
嫉妬の蝶の身ぞつらき
二つの羽もをれ/\て
翼の色はあせにけり
人の命を春の夜の
夢といふこそうれしけれ
夢よりもいや/\深き
われに思ひのあるものを
梅の花さくころほひは
蓮さかばやと思ひわび
蓮の花さくころほひは
萩さかばやと思ふかな
待つまも早く秋は来て
わが踏む道に萩さけど
濁りて待てる吾恋は
清き怨となりにけり