みよすべての罪はしるされたり、
されどすべては我にあらざりき、
まことにわれに現はれしは、
かげなき青き炎の幻影のみ、
雪の上に消えさる哀傷の幽霊のみ、
ああかかる日のせつなる懺悔をも何かせむ、
すべては青きほのほの幻影のみ。
Tag Archives: 何
[it-k026] 誰か我を
誰か我を
思ふ存分叱りつくる人あれと思ふ。
何の心ぞ。
[it-k138] かなしくも
かなしくも、
病いゆるを願はざる心我に在り。
何の心ぞ。
[it-k117] 医者の顔色をぢっと見し外に
医者の顔色をぢっと見し外に
何も見ざりき――
胸の痛み募る日。
[it-k172] 何か一つ騒ぎを起してみたかりし
何か一つ騒ぎを起してみたかりし、
先刻の我を
いとしと思へる。
[it-k002] 眼閉づれど
眼閉づれど、
心にうかぶ何もなし。
さびしくも、また、眼をあけるかな。
[it-k165] 何か、かう、書いてみたくなりて
何か、かう、書いてみたくなりて、
ペンを取りぬ――
花活の花あたらしき朝。
[it-k069] 何故かうかとなさけなくなり
何故かうかとなさけなくなり、
弱い心を何度も叱り、
金かりに行く。
[it-k157] 何思ひけむ
何思ひけむ――
玩具をすてておとなしく、
わが側に来て子の坐りたる。
[it-k185] 何がなしに
何がなしに
肺が小さくなれる如く思ひて起きぬ――
秋近き朝。