泣くがごと首ふるはせて
手の相を見せよといひし
易者もありき
Category Archives: 石川啄木
[it-i173] 忘れがたき人人 – 一 (72)
ごおと鳴る凩のあと
乾きたる雪舞ひ立ちて
林を包めり
[it-i205] 忘れがたき人人 – 一 (104)
波もなき二月の湾に
白塗の
外国船が低く浮かべり
[it-i024] 煙 – 一 (24)
そのかみの愛読の書よ
大方は
今は流行らずなりにけるかな
[it-i056] 煙 – 二 (9)
飴売のチャルメラ聴けば
うしなひし
をさなき心ひろへるごとし
[it-i088] 煙 – 二 (41)
今日聞けば
かの幸うすきやもめ人
きたなき恋に身を入るるてふ
[it-i120] 忘れがたき人人 – 一 (19)
函館の臥牛の山の半腹の
碑の漢詩も
なかば忘れぬ
[it-i152] 忘れがたき人人 – 一 (51)
わが妻に着物縫はせし友ありし
冬早く来る
植民地かな
[it-i184] 忘れがたき人人 – 一 (83)
顔とこゑ
それのみ昔に変らざる友にも会ひき
国の果にて
[it-i216] 忘れがたき人人 – 二 (4)
ひややかに清き大理石に
春の日の静かに照るは
かかる思ひならむ