わが室に女泣きしを
小説のなかの事かと
おもひ出づる日
Category Archives: 石川啄木
[it-i030] 煙 – 一 (30)
おどけたる手つきをかしと
我のみはいつも笑ひき
博学の師を
[it-i062] 煙 – 二 (15)
ふるさとを出で来し子等の
相会ひて
よろこぶにまさるかなしみはなし
[it-i094] 煙 – 二 (47)
汽車の窓
はるかに北にふるさとの山見え来れば
襟を正すも
[it-i126] 忘れがたき人人 – 一 (25)
智慧とその深き慈悲とを
もちあぐみ
為すこともなく友は遊べり
[it-i158] 忘れがたき人人 – 一 (57)
あをじろき頬に涙を光らせて
死をば語りき
若き商人
[it-i190] 忘れがたき人人 – 一 (89)
よりそひて
深夜の雪の中に立つ
女の右手のあたたかさかな
[it-i222] 忘れがたき人人 – 二 (10)
馬鈴薯の花咲く頃と
なれりけり
君もこの花を好きたまふらむ
[it-i009] 煙 – 一 (9)
かなしみといはばいふべき
物の味
我の嘗めしはあまりに早かり
[it-i041] 煙 – 一 (41)
夢さめてふっと悲しむ
わが眠り
昔のごとく安からぬかな