その名さへ忘られし頃
飄然とふるさとに来て
咳せし男
Category Archives: 石川啄木
[it-i105] 忘れがたき人人 – 一 (4)
函館の床屋の弟子を
おもひ出でぬ
耳剃らせるがこころよかりし
[it-i137] 忘れがたき人人 – 一 (36)
しんとして幅広き街の
秋の夜の
玉蜀黍の焼くるにほひよ
[it-i169] 忘れがたき人人 – 一 (68)
名のみ知りて縁もゆかりもなき土地の
宿屋安けし
我が家のごと
[it-i201] 忘れがたき人人 – 一 (100)
さらさらと氷の屑が
波に鳴る
磯の月夜のゆきかへりかな
[it-i233] 忘れがたき人人 – 二 (21)
石狩の都の外の
君が家
林檎の花の散りてやあらむ
[it-i020] 煙 – 一 (20)
ストライキ思ひ出でても
今は早や吾が血躍らず
ひそかに淋し
[it-i052] 煙 – 二 (5)
その昔
小学校の柾屋根に我が投げし鞠
いかにかなりけむ
[it-i084] 煙 – 二 (37)
あはれ我がノスタルジヤは
金のごと
心に照れり清くしみらに
[it-i116] 忘れがたき人人 – 一 (15)
しらなみの寄せて騒げる
函館の大森浜に
思ひしことども