自が才に身をあやまちし人のこと
かたりきかせし
師もありしかな
Category Archives: 一握の砂
[it-i032] 煙 – 一 (32)
そのかみの学校一のなまけ者
今は真面目に
はたらきて居り
[it-i033] 煙 – 一 (33)
田舎めく旅の姿を
三日ばかり都に曝し
かへる友かな
[it-i034] 煙 – 一 (34)
茨島の松の並木の街道を
われと行きし少女
才をたのみき
[it-i035] 煙 – 一 (35)
眼を病みて黒き眼鏡をかけし頃
その頃よ
一人泣くをおぼえし
[it-i036] 煙 – 一 (36)
わがこころ
けふもひそかに泣かむとす
友みな己が道をあゆめり
[it-i037] 煙 – 一 (37)
先んじて恋のあまさと
かなしさを知りし我なり
先んじて老ゆ
[it-i038] 煙 – 一 (38)
興来れば
友なみだ垂れ手を揮りて
酔漢のごとくなりて語りき
[it-i039] 煙 – 一 (39)
人ごみの中をわけ来る
わが友の
むかしながらの太き杖かな
[it-i040] 煙 – 一 (40)
見よげなる年賀の文を書く人と
おもひ過ぎにき
三年ばかりは