人ごみの中をわけ来る
わが友の
むかしながらの太き杖かな
Category Archives: 短歌
[it-k136] 堅く握るだけの力も無くなりし
堅く握るだけの力も無くなりし
やせし我が手の
いとほしさかな。
[it-k100] ぼんやりとした悲しみが
ぼんやりとした悲しみが、
夜となれば、
寝台の上にそっと来て乗る。
[it-i025] 煙 – 一 (25)
石ひとつ
坂をくだるがごとくにも
我けふの日に到り着きたる
[it-i065] 煙 – 二 (18)
ふるさとの
村医の妻のつつましき櫛巻なども
なつかしきかな
[it-i079] 煙 – 二 (32)
我ゆきて手をとれば
泣きてしづまりき
酔ひて荒れしそのかみの友
[it-i007] 煙 – 一 (7)
教室の窓より遁げて
ただ一人
かの城址に寝に行きしかな
[it-i199] 忘れがたき人人 – 一 (98)
きしきしと寒さに踏めば板軋む
かへりの廊下の
不意のくちづけ
[it-i006] 煙 – 一 (6)
師も友も知らで責めにき
謎に似る
わが学業のおこたりの因
[it-k025] みすぼらしき郷里の新聞ひろげつつ
みすぼらしき郷里の新聞ひろげつつ、
誤植ひろへり。
今朝のかなしみ。