ゆるぎ出づる汽車の窓より
人先に顔を引きしも
負けざらむため
Category Archives: 短歌
[it-k186] 秋近し!
秋近し!
電燈の球のぬくもりの
さはれば指の皮膚に親しき。
[it-k155] 「労働者」「革命」などといふ言葉を
「労働者」「革命」などといふ言葉を
聞きおぼえたる
五歳の子かな。
[it-i228] 忘れがたき人人 – 二 (16)
いそがしき生活のなかの
時折のこの物おもひ
誰のためぞも
[it-i227] 忘れがたき人人 – 二 (15)
かの声を最一度聴かば
すっきりと
胸や霽れむと今朝も思へる
[it-k166] 放たれし女のごとく
放たれし女のごとく、
わが妻の振舞ふ日なり。
ダリヤを見入る。
[it-k039] いつの年も
いつの年も、
似たよな歌を二つ三つ
年賀の文に書いてよこす友。
[it-i105] 忘れがたき人人 – 一 (4)
函館の床屋の弟子を
おもひ出でぬ
耳剃らせるがこころよかりし
[it-k003] 途中にてふと気が変り
途中にてふと気が変り、
つとめ先を休みて、今日も、
河岸をさまよへり。
[it-i110] 忘れがたき人人 – 一 (9)
おそらくは生涯妻をむかへじと
わらひし友よ
今もめとらず