うっとりとなりて、
剣をさげ、馬にのれる己が姿を
胸に描ける。
Category Archives: 短歌
[it-k146] 月に三十円もあれば、田舎にては
月に三十円もあれば、田舎にては、
楽に暮せると――
ひょっと思へる。
[it-i130] 忘れがたき人人 – 一 (29)
さりげなき高き笑ひが
酒とともに
我が腸に沁みにけらしな
[it-i081] 煙 – 二 (34)
年ごとに肺病やみの殖えてゆく
村に迎へし
若き医者かな
[it-i150] 忘れがたき人人 – 一 (49)
あらそひて
いたく憎みて別れたる
友をなつかしく思ふ日も来ぬ
[it-i199] 忘れがたき人人 – 一 (98)
きしきしと寒さに踏めば板軋む
かへりの廊下の
不意のくちづけ
[it-k105] 病院に来て
病院に来て、
妻や子をいつくしむ
まことの我にかへりけるかな。
[it-i088] 煙 – 二 (41)
今日聞けば
かの幸うすきやもめ人
きたなき恋に身を入るるてふ
[it-i094] 煙 – 二 (47)
汽車の窓
はるかに北にふるさとの山見え来れば
襟を正すも
[it-k040] 正月の四日になりて
正月の四日になりて
あの人の
年に一度の葉書も来にけり。