今は亡き姉の恋人のおとうとと
なかよくせしを
かなしと思ふ
Category Archives: 短歌
[it-k007] 旅を思ふ夫の心!
旅を思ふ夫の心!
叱り、泣く、妻子の心!
朝の食卓!
[it-i038] 煙 – 一 (38)
興来れば
友なみだ垂れ手を揮りて
酔漢のごとくなりて語りき
[it-i224] 忘れがたき人人 – 二 (12)
忘れをれば
ひょっとした事が思ひ出の種にまたなる
忘れかねつも
[it-k109] うっとりとなりて
うっとりとなりて、
剣をさげ、馬にのれる己が姿を
胸に描ける。
[it-i050] 煙 – 二 (3)
ふと思ふ
ふるさとにゐて日毎聴きし雀の鳴くを
三年聴かざり
[it-k044] ぢりぢりと
ぢりぢりと、
蝋燭の燃えつくるごとく、
夜となりたる大晦日かな。
[it-i006] 煙 – 一 (6)
師も友も知らで責めにき
謎に似る
わが学業のおこたりの因
[it-k149] 病みて四月
病みて四月――
そのときどきに変りたる
くすりの味もなつかしきかな。
病みて四月――
その間にも、猶、目に見えて、
わが子の背丈のびしかなしみ。
[it-i140] 忘れがたき人人 – 一 (39)
かなしきは小樽の町よ
歌ふことなき人人の
声の荒さよ