名は何と言ひけむ。
姓は鈴木なりき。
今はどうして何処にゐるらむ。
Category Archives: 短歌
[it-i053] 煙 – 二 (6)
ふるさとの
かの路傍のすて石よ
今年も草に埋もれしらむ
[it-k133] いつとなく記憶に残りぬ
いつとなく記憶に残りぬ――
Fといふ看護婦の手の
つめたさなども。
[it-k101] 病院の窓によりつつ
病院の窓によりつつ、
いろいろの人の
元気に歩くを眺む。
[it-k019] すっきりと酔ひのさめたる心地よさよ!
すっきりと酔ひのさめたる心地よさよ!
夜中に起きて、
墨を磨るかな。
[it-i205] 忘れがたき人人 – 一 (104)
波もなき二月の湾に
白塗の
外国船が低く浮かべり
[it-k076] 笑ふにも笑はれざりき
笑ふにも笑はれざりき――
長いこと捜したナイフの
手の中にありしに。
[it-k143] 友も妻もかなしと思ふらし
友も妻もかなしと思ふらし――
病みても猶、
革命のこと口に絶たねば。
[it-k132] 脈をとる手のふるひこそ
脈をとる手のふるひこそ
かなしけれ――
医者に叱られし若き看護婦!
[it-k160] ひとところ、畳を見つめてありし間の
ひとところ、畳を見つめてありし間の
その思ひを、
妻よ、語れといふか。