昨日まで朝から晩まで張りつめし
あのこころもち
忘れじと思へど。
Category Archives: 短歌
[it-i017] 煙 – 一 (17)
花散れば
先づ人さきに白の服着て家出づる
我にてありしか
[it-i171] 忘れがたき人人 – 一 (70)
今夜こそ思ふ存分泣いてみむと
泊りし宿屋の
茶のぬるさかな
[it-i123] 忘れがたき人人 – 一 (22)
巻煙草口にくはへて
浪あらき
磯の夜霧に立ちし女よ
[it-i181] 忘れがたき人人 – 一 (80)
さいはての駅に下り立ち
雪あかり
さびしき町にあゆみ入りにき
[it-k041] 世におこなひがたき事のみ考へる
世におこなひがたき事のみ考へる
われの頭よ!
今年もしかるか。
[it-i111] 忘れがたき人人 – 一 (10)
あはれかの
眼鏡の縁をさびしげに光らせてゐし
女教師よ
[it-k074] 八年前の
八年前の
今のわが妻の手紙の束!
何処に蔵ひしかと気にかかるかな。
[it-i064] 煙 – 二 (17)
やはらかに柳あをめる
北上の岸辺目に見ゆ
泣けとごとくに
[it-k185] 何がなしに
何がなしに
肺が小さくなれる如く思ひて起きぬ――
秋近き朝。