おとなしき家畜のごとき
心となる、
熱やや高き日のたよりなさ。
Category Archives: 短歌
[it-k141] ボロオヂンといふ露西亜名が
ボロオヂンといふ露西亜名が、
何故ともなく、
幾度も思ひ出さるる日なり。
[it-k023] 朝な朝な
朝な朝な
撫でてかなしむ、
下にして寝た方の腿のかろきしびれを。
[it-k119] 寝つつ読む本の重さに
寝つつ読む本の重さに
つかれたる
手を休めては、物を思へり。
[it-k166] 放たれし女のごとく
放たれし女のごとく、
わが妻の振舞ふ日なり。
ダリヤを見入る。
[it-k158] お菓子貰ふ時も忘れて
お菓子貰ふ時も忘れて、
二階より、
町の往来を眺むる子かな。
[it-k002] 眼閉づれど
眼閉づれど、
心にうかぶ何もなし。
さびしくも、また、眼をあけるかな。
[it-k130] 閑古鳥
閑古鳥――
渋民村の山荘をめぐる林の
あかつきなつかし。
[it-k063] 人とともに事をはかるに
人とともに事をはかるに
適せざる、
わが性格を思ふ寝覚かな。
[it-k081] 古手紙よ!
古手紙よ!
あの男とも、五年前は、
かほど親しく交はりしかな。