山の子の
山を思ふがごとくにも
かなしき時は君を思へり
Category Archives: 短歌
[it-k147] 今日もまた胸に痛みあり
今日もまた胸に痛みあり。
死ぬならば、
ふるさとに行きて死なむと思ふ。
[it-k042] 人がみな
人がみな
同じ方角に向いて行く。
それを横より見てゐる心。
[it-k030] 考へれば
考へれば、
ほんとに欲しと思ふこと有るやうで無し。
煙管をみがく。
[it-k034] よごれたる手を洗ひし時の
よごれたる手を洗ひし時の
かすかなる満足が
今日の満足なりき。
[it-k073] その頃は気もつかざりし
その頃は気もつかざりし
仮名ちがひの多きことかな、
昔の恋文!
[it-k084] そうれみろ
そうれみろ、
あの人も子をこしらへたと、
何か気の済む心地にて寝る。
[it-i188] 忘れがたき人人 – 一 (87)
わが酔ひに心いためて
うたはざる女ありしが
いかになれるや
[it-k149] 病みて四月
病みて四月――
そのときどきに変りたる
くすりの味もなつかしきかな。
病みて四月――
その間にも、猶、目に見えて、
わが子の背丈のびしかなしみ。
[it-k099] びっしょりと寝汗出てゐる
びっしょりと寝汗出てゐる
あけがたの
まだ覚めやらぬ重きかなしみ。