何がなしに
肺が小さくなれる如く思ひて起きぬ――
秋近き朝。
Category Archives: 短歌
[it-i074] 煙 – 二 (27)
意地悪の大工の子などもかなしかり
戦に出でしが
生きてかへらず
[it-k067] あやまちて茶碗をこはし
あやまちて茶碗をこはし、
物をこはす気持のよさを、
今朝も思へる。
[it-k041] 世におこなひがたき事のみ考へる
世におこなひがたき事のみ考へる
われの頭よ!
今年もしかるか。
[it-k097] ふくれたる腹を撫でつつ
ふくれたる腹を撫でつつ、
病院の寝台に、ひとり、
かなしみてあり。
[it-k033] よごれたる手をみる
よごれたる手をみる――
ちゃうど
この頃の自分の心に対ふがごとし。
[it-i142] 忘れがたき人人 – 一 (41)
いささかの銭借りてゆきし
わが友の
後姿の肩の雪かな
[it-k112] ぢっとして寝ていらっしゃいと
ぢっとして寝ていらっしゃいと
子供にでもいふがごとくに
医者のいふ日かな。
[it-i157] 忘れがたき人人 – 一 (56)
共同の薬屋開き
儲けむといふ友なりき
詐欺せしといふ
[it-i004] 煙 – 一 (4)
かの旅の汽車の車掌が
ゆくりなくも
我が中学の友なりしかな