郷里にゐて
身投げせしことありといふ
女の三味にうたへるゆふべ
Category Archives: 短歌
[it-i213] 忘れがたき人人 – 二 (1)
いつなりけむ
夢にふと聴きてうれしかりし
その声もあはれ長く聴かざり
[it-k183] 買ひおきし
買ひおきし
薬つきたる朝に来し
友のなさけの為替のかなしさ。
[it-i007] 煙 – 一 (7)
教室の窓より遁げて
ただ一人
かの城址に寝に行きしかな
[it-i223] 忘れがたき人人 – 二 (11)
山の子の
山を思ふがごとくにも
かなしき時は君を思へり
[it-i105] 忘れがたき人人 – 一 (4)
函館の床屋の弟子を
おもひ出でぬ
耳剃らせるがこころよかりし
[it-i162] 忘れがたき人人 – 一 (61)
みぞれ降る
石狩の野の汽車に読みし
ツルゲエネフの物語かな
[it-k166] 放たれし女のごとく
放たれし女のごとく、
わが妻の振舞ふ日なり。
ダリヤを見入る。
[it-i015] 煙 – 一 (15)
その後に我を捨てし友も
あの頃は共に書読み
ともに遊びき
[it-k138] かなしくも
かなしくも、
病いゆるを願はざる心我に在り。
何の心ぞ。