はづれまで一度ゆきたしと
思ひゐし
かの病院の長廊下かな。
Category Archives: 短歌
[it-i017] 煙 – 一 (17)
花散れば
先づ人さきに白の服着て家出づる
我にてありしか
[it-i177] 忘れがたき人人 – 一 (76)
うたふごと駅の名呼びし
柔和なる
若き駅夫の眼をも忘れず
[it-i212] 忘れがたき人人 – 一 (111)
浪淘沙
ながくも声をふるはせて
うたふがごとき旅なりしかな
[it-k151] まくら辺に子を坐らせて
まくら辺に子を坐らせて、
まじまじとその顔を見れば、
逃げてゆきしかな。
[it-i139] 忘れがたき人人 – 一 (38)
石狩の美国といへる停車場の
柵に乾してありし
赤き布片かな
[it-i036] 煙 – 一 (36)
わがこころ
けふもひそかに泣かむとす
友みな己が道をあゆめり
[it-k053] いつしかに正月も過ぎて
いつしかに正月も過ぎて、
わが生活が
またもとの道にはまり来れり。
[it-i122] 忘れがたき人人 – 一 (21)
とるに足らぬ男と思へと言ふごとく
山に入りにき
神のごとき友
[it-i172] 忘れがたき人人 – 一 (71)
水蒸気
列車の窓に花のごと凍てしを染むる
あかつきの色