すこやかに、
背丈のびゆく子を見つつ、
われの日毎にさびしきは何ぞ。
Monthly Archives: 6月 1912
[it-k149] 病みて四月
病みて四月――
そのときどきに変りたる
くすりの味もなつかしきかな。
病みて四月――
その間にも、猶、目に見えて、
わが子の背丈のびしかなしみ。
[it-k148] いつしかに夏となれりけり
いつしかに夏となれりけり。
やみあがりの目にこころよき
雨の明るさ!
[it-k147] 今日もまた胸に痛みあり
今日もまた胸に痛みあり。
死ぬならば、
ふるさとに行きて死なむと思ふ。
[it-k146] 月に三十円もあれば、田舎にては
月に三十円もあれば、田舎にては、
楽に暮せると――
ひょっと思へる。
[it-k145] かかる目に
かかる目に
すでに幾度会へることぞ!
成るがままに成れと今は思ふなり。
[it-k144] やや遠きものに思ひし
やや遠きものに思ひし
テロリストの悲しき心も――
近づく日のあり。
[it-k143] 友も妻もかなしと思ふらし
友も妻もかなしと思ふらし――
病みても猶、
革命のこと口に絶たねば。
[it-k142] いつとなく我にあゆみ寄り
いつとなく我にあゆみ寄り、
手を握り、
またいつとなく去りゆく人人!
[it-k141] ボロオヂンといふ露西亜名が
ボロオヂンといふ露西亜名が、
何故ともなく、
幾度も思ひ出さるる日なり。