病みて四月――
そのときどきに変りたる
くすりの味もなつかしきかな。
病みて四月――
その間にも、猶、目に見えて、
わが子の背丈のびしかなしみ。
Tag Archives: 味
[it-k092] 晴れし日のかなしみの一つ!
晴れし日のかなしみの一つ!
病室の窓にもたれて
煙草を味ふ。
[it-k018] 何事か今我つぶやけり
何事か今我つぶやけり。
かく思ひ、
目をうちつぶり、酔ひを味ふ。
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かなしみといはばいふべき
物の味
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城址の
石に腰掛け
禁制の木の実をひとり味ひしこと
[st-w32] 三 生のあけぼの – 酔歌
旅と旅との君や我
君と我とのなかなれば
酔ふて袂の歌草を
醒めての君に見せばやな
若き命も過ぎぬ間に
楽しき春は老いやすし
誰が身にもてる宝ぞや
君くれないのかほばせは
君がまなこに涙あり
君が眉には憂愁あり
堅く結べるその口に
それ声も無きなげきあり
名もなき道を説くなかれ
名もなき旅を行くなかれ
甲斐なきことをなげくより
来りて美き酒に泣け
光もあらぬ春の日の
独りさみしきものぐるひ
悲しき味の世の智恵に
老いにけらしな旅人よ
心の春の燭火に
若き命を照らし見よ
さくまを待たで花散らば
哀しからずや君が身は
わきめもふらで急ぎ行く
君の行衛はいづこぞや
琴花酒のあるものを
とゞまりたまへ旅人よ