しっとりと
酒のかをりにひたりたる
脳の重みを感じて帰る。
Author Archives: 石川啄木
[it-k017] 今日もまた酒のめるかな!
今日もまた酒のめるかな!
酒のめば
胸のむかつく癖を知りつつ。
[it-k026] 誰か我を
誰か我を
思ふ存分叱りつくる人あれと思ふ。
何の心ぞ。
[it-k025] みすぼらしき郷里の新聞ひろげつつ
みすぼらしき郷里の新聞ひろげつつ、
誤植ひろへり。
今朝のかなしみ。
[it-k024] 曠野ゆく汽車のごとくに
曠野ゆく汽車のごとくに、
このなやみ、
ときどき我の心を通る。
[it-k023] 朝な朝な
朝な朝な
撫でてかなしむ、
下にして寝た方の腿のかろきしびれを。
[it-k022] 手も足もはなればなれにあるごとき
手も足もはなればなれにあるごとき
ものうき寝覚!
かなしき寝覚!
[it-k021] どうなりと勝手になれといふごとき
どうなりと勝手になれといふごとき
わがこのごろを
ひとり恐るる。
[it-k020] 真夜中の出窓に出でて
真夜中の出窓に出でて、
欄干の霜に
手先を冷やしけるかな。
[it-k019] すっきりと酔ひのさめたる心地よさよ!
すっきりと酔ひのさめたる心地よさよ!
夜中に起きて、
墨を磨るかな。