見よげなる年賀の文を書く人と
おもひ過ぎにき
三年ばかりは

人ごみの中をわけ来る
わが友の
むかしながらの太き杖かな

興来れば
友なみだ垂れ手を揮りて
酔漢のごとくなりて語りき

先んじて恋のあまさと
かなしさを知りし我なり
先んじて老ゆ

わがこころ
けふもひそかに泣かむとす
友みな己が道をあゆめり

眼を病みて黒き眼鏡をかけし頃
その頃よ
一人泣くをおぼえし

茨島の松の並木の街道を
われと行きし少女
才をたのみき

田舎めく旅の姿を
三日ばかり都に曝し
かへる友かな

そのかみの学校一のなまけ者
今は真面目に
はたらきて居り

自が才に身をあやまちし人のこと
かたりきかせし
師もありしかな