近眼にて
おどけし歌をよみ出でし
茂雄の恋もかなしかりしか
Author Archives: 石川啄木
[it-i044] 煙 – 一 (44)
わが妻のむかしの願ひ
音楽のことにかかりき
今はうたはず
[it-i045] 煙 – 一 (45)
友はみな或日四方に散り行きぬ
その後八年
名挙げしもなし
[it-i057] 煙 – 二 (10)
このごろは
母も時時ふるさとのことを言ひ出づ
秋に入れるなり
[it-i056] 煙 – 二 (9)
飴売のチャルメラ聴けば
うしなひし
をさなき心ひろへるごとし
[it-i055] 煙 – 二 (8)
二日前に山の絵見しが
今朝になりて
にはかに恋しふるさとの山
[it-i054] 煙 – 二 (7)
わかれをれば妹いとしも
赤き緒の
下駄など欲しとわめく子なりし
[it-i053] 煙 – 二 (6)
ふるさとの
かの路傍のすて石よ
今年も草に埋もれしらむ
[it-i052] 煙 – 二 (5)
その昔
小学校の柾屋根に我が投げし鞠
いかにかなりけむ
[it-i051] 煙 – 二 (4)
亡くなれる師がその昔
たまひたる
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