その後に我を捨てし友も
あの頃は共に書読み
ともに遊びき
Author Archives: 石川啄木
[it-i016] 煙 – 一 (16)
学校の図書庫の裏の秋の草
黄なる花咲きし
今も名知らず
[it-i028] 煙 – 一 (28)
かぎりなき知識の慾に燃ゆる眼を
姉は傷みき
人恋ふるかと
[it-i027] 煙 – 一 (27)
解剖せし
蚯蚓のいのちもかなしかり
かの校庭の木柵の下
[it-i026] 煙 – 一 (26)
愁ひある少年の眼に羨みき
小鳥の飛ぶを
飛びてうたふを
[it-i025] 煙 – 一 (25)
石ひとつ
坂をくだるがごとくにも
我けふの日に到り着きたる
[it-i024] 煙 – 一 (24)
そのかみの愛読の書よ
大方は
今は流行らずなりにけるかな
[it-i023] 煙 – 一 (23)
西風に
内丸大路の桜の葉
かさこそ散るを踏みてあそびき
[it-i022] 煙 – 一 (22)
神有りと言ひ張る友を
説きふせし
かの路傍の栗の樹の下
[it-i021] 煙 – 一 (21)
盛岡の中学校の
露台の
欄干に最一度我を倚らしめ