肺を病む
極道地主の総領の
よめとりの日の春の雷かな
Author Archives: 石川啄木
[it-i087] 煙 – 二 (40)
わが思ふこと
おほかたは正しかり
ふるさとのたより着ける朝は
[it-i086] 煙 – 二 (39)
閑古鳥
鳴く日となれば起るてふ
友のやまひのいかになりけむ
[it-i085] 煙 – 二 (38)
友として遊ぶものなき
性悪の巡査の子等も
あはれなりけり
[it-i084] 煙 – 二 (37)
あはれ我がノスタルジヤは
金のごと
心に照れり清くしみらに
[it-i083] 煙 – 二 (36)
馬鈴薯のうす紫の花に降る
雨を思へり
都の雨に
[it-i082] 煙 – 二 (35)
ほたる狩
川にゆかむといふ我を
山路にさそふ人にてありき
[it-i081] 煙 – 二 (34)
年ごとに肺病やみの殖えてゆく
村に迎へし
若き医者かな
[it-i080] 煙 – 二 (33)
酒のめば
刀をぬきて妻を逐ふ教師もありき
村を遂はれき
[it-i079] 煙 – 二 (32)
我ゆきて手をとれば
泣きてしづまりき
酔ひて荒れしそのかみの友