わかれをれば妹いとしも
赤き緒の
下駄など欲しとわめく子なりし
Category Archives: 石川啄木
[it-i086] 煙 – 二 (39)
閑古鳥
鳴く日となれば起るてふ
友のやまひのいかになりけむ
[it-i118] 忘れがたき人人 – 一 (17)
漂泊の愁ひを叙して成らざりし
草稿の字の
読みがたさかな
[it-i150] 忘れがたき人人 – 一 (49)
あらそひて
いたく憎みて別れたる
友をなつかしく思ふ日も来ぬ
[it-i182] 忘れがたき人人 – 一 (81)
しらしらと氷かがやき
千鳥なく
釧路の海の冬の月かな
[it-i214] 忘れがたき人人 – 二 (2)
頬の寒き
流離の旅の人として
路問ふほどのこと言ひしのみ
[it-i001] 煙 – 一 (1)
病のごと
思郷のこころ湧く日なり
目にあをぞらの煙かなしも
[it-i033] 煙 – 一 (33)
田舎めく旅の姿を
三日ばかり都に曝し
かへる友かな
[it-i065] 煙 – 二 (18)
ふるさとの
村医の妻のつつましき櫛巻なども
なつかしきかな
[it-i097] 煙 – 二 (50)
見もしらぬ女教師が
そのかみの
わが学舎の窓に立てるかな