芸事も顔も
かれより優れたる
女あしざまに我を言へりとか
Category Archives: 石川啄木
[it-i224] 忘れがたき人人 – 二 (12)
忘れをれば
ひょっとした事が思ひ出の種にまたなる
忘れかねつも
[it-i011] 煙 – 一 (11)
夜寝ても口笛吹きぬ
口笛は
十五の我の歌にしありけり
[it-i043] 煙 – 一 (43)
近眼にて
おどけし歌をよみ出でし
茂雄の恋もかなしかりしか
[it-i075] 煙 – 二 (28)
肺を病む
極道地主の総領の
よめとりの日の春の雷かな
[it-i107] 忘れがたき人人 – 一 (6)
船に酔ひてやさしくなれる
いもうとの眼見ゆ
津軽の海を思へば
[it-i139] 忘れがたき人人 – 一 (38)
石狩の美国といへる停車場の
柵に乾してありし
赤き布片かな
[it-i171] 忘れがたき人人 – 一 (70)
今夜こそ思ふ存分泣いてみむと
泊りし宿屋の
茶のぬるさかな
[it-i203] 忘れがたき人人 – 一 (102)
十年まへに作りしといふ漢詩を
酔へば唱へき
旅に老いし友
[it-i022] 煙 – 一 (22)
神有りと言ひ張る友を
説きふせし
かの路傍の栗の樹の下