若くして
数人の父となりし友
子なきがごとく酔へばうたひき
Category Archives: 石川啄木
[it-i161] 忘れがたき人人 – 一 (60)
ゆるぎ出づる汽車の窓より
人先に顔を引きしも
負けざらむため
[it-i193] 忘れがたき人人 – 一 (92)
舞へといへば立ちて舞ひにき
おのづから
悪酒の酔ひにたふるるまでも
[it-i225] 忘れがたき人人 – 二 (13)
病むと聞き
癒えしと聞きて
四百里のこなたに我はうつつなかりし
[it-i012] 煙 – 一 (12)
よく叱る師ありき
髯の似たるより山羊と名づけて
口真似もしき
[it-i044] 煙 – 一 (44)
わが妻のむかしの願ひ
音楽のことにかかりき
今はうたはず
[it-i076] 煙 – 二 (29)
宗次郎に
おかねが泣きて口説き居り
大根の花白きゆふぐれ
[it-i108] 忘れがたき人人 – 一 (7)
目を閉ぢて
傷心の句を誦してゐし
友の手紙のおどけ悲しも
[it-i140] 忘れがたき人人 – 一 (39)
かなしきは小樽の町よ
歌ふことなき人人の
声の荒さよ
[it-i172] 忘れがたき人人 – 一 (71)
水蒸気
列車の窓に花のごと凍てしを染むる
あかつきの色