友として遊ぶものなき
性悪の巡査の子等も
あはれなりけり
Category Archives: 短歌
[it-k156] 時として
時として、
あらん限りの声を出し、
唱歌をうたふ子をほめてみる。
[it-k088] そんならば生命が欲しくないのかと
そんならば生命が欲しくないのかと、
医者に言はれて、
だまりし心!
[it-k101] 病院の窓によりつつ
病院の窓によりつつ、
いろいろの人の
元気に歩くを眺む。
[it-k004] 咽喉がかわき
咽喉がかわき、
まだ起きてゐる果物屋を探しに行きぬ。
秋の夜ふけに。
[it-i018] 煙 – 一 (18)
今は亡き姉の恋人のおとうとと
なかよくせしを
かなしと思ふ
[it-i052] 煙 – 二 (5)
その昔
小学校の柾屋根に我が投げし鞠
いかにかなりけむ
[it-k159] 新しきインクの匂ひ
新しきインクの匂ひ、
目に沁むもかなしや。
いつか庭の青めり。
[it-k117] 医者の顔色をぢっと見し外に
医者の顔色をぢっと見し外に
何も見ざりき――
胸の痛み募る日。
[it-k179] ただ一人の
ただ一人の
をとこの子なる我はかく育てり。
父母もかなしかるらむ。