かなしみといはばいふべき
物の味
我の嘗めしはあまりに早かり
Category Archives: 短歌
[it-i211] 忘れがたき人人 – 一 (110)
わが室に女泣きしを
小説のなかの事かと
おもひ出づる日
[it-i042] 煙 – 一 (42)
そのむかし秀才の名の高かりし
友牢にあり
秋のかぜ吹く
[it-k146] 月に三十円もあれば、田舎にては
月に三十円もあれば、田舎にては、
楽に暮せると――
ひょっと思へる。
[it-k147] 今日もまた胸に痛みあり
今日もまた胸に痛みあり。
死ぬならば、
ふるさとに行きて死なむと思ふ。
[it-i002] 煙 – 一 (2)
己が名をほのかに呼びて
涙せし
十四の春にかへる術なし
[it-i049] 煙 – 二 (2)
やまひある獣のごとき
わがこころ
ふるさとのこと聞けばおとなし
[it-i202] 忘れがたき人人 – 一 (101)
死にしとかこのごろ聞きぬ
恋がたき
才あまりある男なりしが
[it-i045] 煙 – 一 (45)
友はみな或日四方に散り行きぬ
その後八年
名挙げしもなし
[it-i161] 忘れがたき人人 – 一 (60)
ゆるぎ出づる汽車の窓より
人先に顔を引きしも
負けざらむため