うす紅く雪に流れて
入日影
曠野の汽車の窓を照せり
Category Archives: 短歌
[it-k031] 今日ひょいと山が恋しくて
今日ひょいと山が恋しくて
山に来ぬ。
去年腰掛けし石をさがすかな。
[it-k180] 茶まで断ちて
茶まで断ちて、
わが平復を祈りたまふ
母の今日また何か怒れる。
[it-i124] 忘れがたき人人 – 一 (23)
演習のひまにわざわざ
汽車に乗りて
訪ひ来し友とのめる酒かな
[it-k059] 外套の襟に頤を埋め
外套の襟に頤を埋め、
夜ふけに立どまりて聞く。
よく似た声かな。
[it-k078] 原稿紙にでなくては
原稿紙にでなくては
字を書かぬものと、
かたく信ずる我が児のあどけなさ!
[it-i082] 煙 – 二 (35)
ほたる狩
川にゆかむといふ我を
山路にさそふ人にてありき
[it-k179] ただ一人の
ただ一人の
をとこの子なる我はかく育てり。
父母もかなしかるらむ。
[it-i180] 忘れがたき人人 – 一 (79)
何事も思ふことなく
日一日
汽車のひびきに心まかせぬ
[it-i174] 忘れがたき人人 – 一 (73)
空知川雪に埋れて
鳥も見えず
岸辺の林に人ひとりゐき