廻診の医者の遅さよ!
痛みある胸に手をおきて
かたく眼をとづ。
Category Archives: 短歌
[it-k041] 世におこなひがたき事のみ考へる
世におこなひがたき事のみ考へる
われの頭よ!
今年もしかるか。
[it-k047] 過ぎゆける一年のつかれ出しものか
過ぎゆける一年のつかれ出しものか、
元日といふに
うとうと眠し。
[it-i174] 忘れがたき人人 – 一 (73)
空知川雪に埋れて
鳥も見えず
岸辺の林に人ひとりゐき
[it-k163] 枕辺の障子あけさせて
枕辺の障子あけさせて、
空を見る癖もつけるかな――
長き病に。
[it-k167] あてもなき金などを待つ思ひかな
あてもなき金などを待つ思ひかな。
寝つ起きつして、
今日も暮したり。
[it-k051] やみがたき用を忘れ来ぬ
やみがたき用を忘れ来ぬ――
途中にて口に入れたる
ゼムのためなりし。
[it-i168] 忘れがたき人人 – 一 (67)
乗合の砲兵士官の
剣の鞘
がちゃりと鳴るに思ひやぶれき
[it-i085] 煙 – 二 (38)
友として遊ぶものなき
性悪の巡査の子等も
あはれなりけり
[it-k085] 『石川はふびんな奴だ。』
『石川はふびんな奴だ。』
ときにかう自分で言ひて、
かなしみてみる。