咽喉がかわき、
まだ起きてゐる果物屋を探しに行きぬ。
秋の夜ふけに。
Category Archives: 短歌
[it-i038] 煙 – 一 (38)
興来れば
友なみだ垂れ手を揮りて
酔漢のごとくなりて語りき
[it-i198] 忘れがたき人人 – 一 (97)
火をしたふ虫のごとくに
ともしびの明るき家に
かよひ慣れにき
[it-k122] 胸いたみ
胸いたみ、
春の霙の降る日なり。
薬に噎せて、伏して眼をとづ。
[it-k063] 人とともに事をはかるに
人とともに事をはかるに
適せざる、
わが性格を思ふ寝覚かな。
[it-k074] 八年前の
八年前の
今のわが妻の手紙の束!
何処に蔵ひしかと気にかかるかな。
[it-k031] 今日ひょいと山が恋しくて
今日ひょいと山が恋しくて
山に来ぬ。
去年腰掛けし石をさがすかな。
[it-k073] その頃は気もつかざりし
その頃は気もつかざりし
仮名ちがひの多きことかな、
昔の恋文!
[it-k154] かなしきは
かなしきは、
(われもしかりき)
叱れども、打てども泣かぬ児の心なる。
[it-k174] 解けがたき
解けがたき
不和のあひだに身を処して、
ひとりかなしく今日も怒れり。