大川の水の面を見るごとに
郁雨よ
君のなやみを思ふ
Category Archives: 短歌
[it-k106] もう嘘をいはじと思ひき
もう嘘をいはじと思ひき――
それは今朝――
今また一つ嘘をいへるかな。
[it-i201] 忘れがたき人人 – 一 (100)
さらさらと氷の屑が
波に鳴る
磯の月夜のゆきかへりかな
[it-k190] 庭のそとを白き犬ゆけり
庭のそとを白き犬ゆけり。
ふりむきて、
犬を飼はむと妻にはかれる。
[it-k141] ボロオヂンといふ露西亜名が
ボロオヂンといふ露西亜名が、
何故ともなく、
幾度も思ひ出さるる日なり。
[it-i128] 忘れがたき人人 – 一 (27)
かなしめば高く笑ひき
酒をもて
悶を解すといふ年上の友
[it-i100] 煙 – 二 (53)
ふるさとの停車場路の
川ばたの
胡桃の下に小石拾へり
[it-i131] 忘れがたき人人 – 一 (30)
呻噛み
夜汽車の窓に別れたる
別れが今は物足らぬかな
[it-i096] 煙 – 二 (49)
ふるさとに入りて先づ心傷むかな
道広くなり
橋もあたらし
[it-k157] 何思ひけむ
何思ひけむ――
玩具をすてておとなしく、
わが側に来て子の坐りたる。