解けがたき
不和のあひだに身を処して、
ひとりかなしく今日も怒れり。
Category Archives: 短歌
[it-i136] 忘れがたき人人 – 一 (35)
アカシヤの街にポプラに
秋の風
吹くがかなしと日記に残れり
[it-k090] 話しかけて返事のなきに
話しかけて返事のなきに
よく見れば、
泣いてゐたりき、隣の患者。
[it-k095] 病院に入りて初めての夜といふに
病院に入りて初めての夜といふに、
すぐ寝入りしが、
物足らぬかな。
[it-i008] 煙 – 一 (8)
不来方のお城の草に寝ころびて
空に吸はれし
十五の心
[it-k094] 脉をとる看護婦の手の
脉をとる看護婦の手の、
あたたかき日あり、
つめたく堅き日もあり。
[it-k087] 重い荷を下したやうな
重い荷を下したやうな、
気持なりき、
この寝台の上に来ていねしとき。
[it-i047] 煙 – 一 (47)
糸切れし紙鳶のごとくに
若き日の心かろくも
とびさりしかな
[it-i051] 煙 – 二 (4)
亡くなれる師がその昔
たまひたる
地理の本など取りいでて見る
[it-k093] 夜おそく何処やらの室の騒がしきは
夜おそく何処やらの室の騒がしきは
人や死にたらむと、
息をひそむる。