ただ一人の
をとこの子なる我はかく育てり。
父母もかなしかるらむ。
Category Archives: 短歌
[it-k051] やみがたき用を忘れ来ぬ
やみがたき用を忘れ来ぬ――
途中にて口に入れたる
ゼムのためなりし。
[it-i047] 煙 – 一 (47)
糸切れし紙鳶のごとくに
若き日の心かろくも
とびさりしかな
[it-k145] かかる目に
かかる目に
すでに幾度会へることぞ!
成るがままに成れと今は思ふなり。
[it-k161] あの年のゆく春のころ
あの年のゆく春のころ、
眼をやみてかけし黒眼鏡――
こはしやしにけむ。
[it-i026] 煙 – 一 (26)
愁ひある少年の眼に羨みき
小鳥の飛ぶを
飛びてうたふを
[it-k036] 昨日まで朝から晩まで張りつめし
昨日まで朝から晩まで張りつめし
あのこころもち
忘れじと思へど。
[it-k048] それとなく
それとなく
その由るところ悲しまる、
元日の午後の眠たき心。
[it-k169] 或る市にゐし頃の事として
或る市にゐし頃の事として、
友の語る
恋がたりに嘘の交るかなしさ。
[it-i227] 忘れがたき人人 – 二 (15)
かの声を最一度聴かば
すっきりと
胸や霽れむと今朝も思へる