ふるさとの土をわが踏めば
何がなしに足軽くなり
心重れり
[it-i094] 煙 – 二 (47)
汽車の窓
はるかに北にふるさとの山見え来れば
襟を正すも
[it-i093] 煙 – 二 (46)
霧ふかき好摩の原の
停車場の
朝の虫こそすずろなりけれ
[it-i092] 煙 – 二 (45)
わが村に
初めてイエス・クリストの道を説きたる
若き女かな
[it-i091] 煙 – 二 (44)
わが庭の白き躑躅を
薄月の夜に
折りゆきしことな忘れそ
[it-i090] 煙 – 二 (43)
あはれかの男のごときたましひよ
今は何処に
何を思ふや
[it-i089] 煙 – 二 (42)
わがために
なやめる魂をしづめよと
讃美歌うたふ人ありしかな
[it-i088] 煙 – 二 (41)
今日聞けば
かの幸うすきやもめ人
きたなき恋に身を入るるてふ
[it-i087] 煙 – 二 (40)
わが思ふこと
おほかたは正しかり
ふるさとのたより着ける朝は
[it-i086] 煙 – 二 (39)
閑古鳥
鳴く日となれば起るてふ
友のやまひのいかになりけむ