人がいふ
鬢のほつれのめでたさを
物書く時の君に見たりし
Category Archives: 一握の砂
[it-i222] 忘れがたき人人 – 二 (10)
馬鈴薯の花咲く頃と
なれりけり
君もこの花を好きたまふらむ
[it-i223] 忘れがたき人人 – 二 (11)
山の子の
山を思ふがごとくにも
かなしき時は君を思へり
[it-i224] 忘れがたき人人 – 二 (12)
忘れをれば
ひょっとした事が思ひ出の種にまたなる
忘れかねつも
[it-i225] 忘れがたき人人 – 二 (13)
病むと聞き
癒えしと聞きて
四百里のこなたに我はうつつなかりし
[it-i226] 忘れがたき人人 – 二 (14)
君に似し姿を街に見る時の
こころ躍りを
あはれと思へ
[it-i227] 忘れがたき人人 – 二 (15)
かの声を最一度聴かば
すっきりと
胸や霽れむと今朝も思へる
[it-i228] 忘れがたき人人 – 二 (16)
いそがしき生活のなかの
時折のこの物おもひ
誰のためぞも
[it-i229] 忘れがたき人人 – 二 (17)
しみじみと
物うち語る友もあれ
君のことなど語り出でなむ
[it-i230] 忘れがたき人人 – 二 (18)
死ぬまでに一度会はむと
言ひやらば
君もかすかにうなづくらむか