いくたびか死なむとしては
死なざりし
わが来しかたのをかしく悲し
Category Archives: 短歌
[it-k154] かなしきは
かなしきは、
(われもしかりき)
叱れども、打てども泣かぬ児の心なる。
[it-k164] おとなしき家畜のごとき
おとなしき家畜のごとき
心となる、
熱やや高き日のたよりなさ。
[it-k163] 枕辺の障子あけさせて
枕辺の障子あけさせて、
空を見る癖もつけるかな――
長き病に。
[it-i206] 忘れがたき人人 – 一 (105)
三味線の絃のきれしを
火事のごと騒ぐ子ありき
大雪の夜に
[it-i175] 忘れがたき人人 – 一 (74)
寂莫を敵とし友とし
雪のなかに
長き一生を送る人もあり
[it-k090] 話しかけて返事のなきに
話しかけて返事のなきに
よく見れば、
泣いてゐたりき、隣の患者。
[it-k017] 今日もまた酒のめるかな!
今日もまた酒のめるかな!
酒のめば
胸のむかつく癖を知りつつ。
[it-k131] ふるさとの寺の畔の
ふるさとの寺の畔の
ひばの木の
いただきに来て啼きし閑古鳥!
[it-i208] 忘れがたき人人 – 一 (107)
郷里にゐて
身投げせしことありといふ
女の三味にうたへるゆふべ