遠くより
笛ながながとひびかせて
汽車今とある森林に入る
Category Archives: 短歌
[it-i087] 煙 – 二 (40)
わが思ふこと
おほかたは正しかり
ふるさとのたより着ける朝は
[it-k023] 朝な朝な
朝な朝な
撫でてかなしむ、
下にして寝た方の腿のかろきしびれを。
[it-k086] ドア推してひと足出れば
ドア推してひと足出れば、
病人の目にはてもなき
長廊下かな。
[it-i049] 煙 – 二 (2)
やまひある獣のごとき
わがこころ
ふるさとのこと聞けばおとなし
[it-k153] その親にも
その親にも、
親の親にも似るなかれ――
かく汝が父は思へるぞ、子よ。
[it-k155] 「労働者」「革命」などといふ言葉を
「労働者」「革命」などといふ言葉を
聞きおぼえたる
五歳の子かな。
[it-i055] 煙 – 二 (8)
二日前に山の絵見しが
今朝になりて
にはかに恋しふるさとの山
[it-i222] 忘れがたき人人 – 二 (10)
馬鈴薯の花咲く頃と
なれりけり
君もこの花を好きたまふらむ
[it-k085] 『石川はふびんな奴だ。』
『石川はふびんな奴だ。』
ときにかう自分で言ひて、
かなしみてみる。