郷里にゐて
身投げせしことありといふ
女の三味にうたへるゆふべ
Author Archives: 石川啄木
[it-i207] 忘れがたき人人 – 一 (106)
神のごと
遠く姿をあらはせる
阿寒の山の雪のあけぼの
[it-i219] 忘れがたき人人 – 二 (7)
真白なるラムプの笠の
瑕のごと
流離の記憶消しがたきかな
[it-i220] 忘れがたき人人 – 二 (8)
函館のかの焼跡を去りし夜の
こころ残りを
今も残しつ
[it-i221] 忘れがたき人人 – 二 (9)
人がいふ
鬢のほつれのめでたさを
物書く時の君に見たりし
[it-i233] 忘れがたき人人 – 二 (21)
石狩の都の外の
君が家
林檎の花の散りてやあらむ
[it-i232] 忘れがたき人人 – 二 (20)
わかれ来て年を重ねて
年ごとに恋しくなれる
君にしあるかな
[it-i231] 忘れがたき人人 – 二 (19)
時として
君を思へば
安かりし心にはかに騒ぐかなしさ
[it-i230] 忘れがたき人人 – 二 (18)
死ぬまでに一度会はむと
言ひやらば
君もかすかにうなづくらむか
[it-i229] 忘れがたき人人 – 二 (17)
しみじみと
物うち語る友もあれ
君のことなど語り出でなむ