友として遊ぶものなき
性悪の巡査の子等も
あはれなりけり

朝な朝な
支那の俗歌をうたひ出づる
まくら時計を愛でしかなしみ

汝三度
この咽喉に剣を擬したりと
彼告別の辞に言へりけり

さいはての駅に下り立ち
雪あかり
さびしき町にあゆみ入りにき

いつなりけむ
夢にふと聴きてうれしかりし
その声もあはれ長く聴かざり

そのかみの学校一のなまけ者
今は真面目に
はたらきて居り

やはらかに柳あをめる
北上の岸辺目に見ゆ
泣けとごとくに

ふるさとに入りて先づ心傷むかな
道広くなり
橋もあたらし

かなしめば高く笑ひき
酒をもて
悶を解すといふ年上の友

敵として憎みし友と
やや長く手をば握りき
わかれといふに