わがこころ
けふもひそかに泣かむとす
友みな己が道をあゆめり
Category Archives: 短歌
[it-i076] 煙 – 二 (29)
宗次郎に
おかねが泣きて口説き居り
大根の花白きゆふぐれ
[it-i134] 忘れがたき人人 – 一 (33)
真夜中の
倶知安駅に下りゆきし
女の鬢の古き痍あと
[it-k064] 自分よりも年若き人に
自分よりも年若き人に、
半日も気焔を吐きて、
つかれし心!
[it-i175] 忘れがたき人人 – 一 (74)
寂莫を敵とし友とし
雪のなかに
長き一生を送る人もあり
[it-i105] 忘れがたき人人 – 一 (4)
函館の床屋の弟子を
おもひ出でぬ
耳剃らせるがこころよかりし
[it-k133] いつとなく記憶に残りぬ
いつとなく記憶に残りぬ――
Fといふ看護婦の手の
つめたさなども。
[it-k096] 何となく自分をえらい人のやうに
何となく自分をえらい人のやうに
思ひてゐたりき。
子供なりしかな。
[it-k044] ぢりぢりと
ぢりぢりと、
蝋燭の燃えつくるごとく、
夜となりたる大晦日かな。
[it-i002] 煙 – 一 (2)
己が名をほのかに呼びて
涙せし
十四の春にかへる術なし