ある日、ふと、やまひを忘れ、
牛の啼く真似をしてみぬ、――
妻子の留守に。
Category Archives: 短歌
[it-k029] 新しき明日の来るを信ずといふ
新しき明日の来るを信ずといふ
自分の言葉に
嘘はなけれど――
[it-k174] 解けがたき
解けがたき
不和のあひだに身を処して、
ひとりかなしく今日も怒れり。
[it-i027] 煙 – 一 (27)
解剖せし
蚯蚓のいのちもかなしかり
かの校庭の木柵の下
[it-i062] 煙 – 二 (15)
ふるさとを出で来し子等の
相会ひて
よろこぶにまさるかなしみはなし
[it-i033] 煙 – 一 (33)
田舎めく旅の姿を
三日ばかり都に曝し
かへる友かな
[it-k071] 古新聞!
古新聞!
おやここにおれの歌の事を賞めて書いてあり、
二三行なれど。
[it-k151] まくら辺に子を坐らせて
まくら辺に子を坐らせて、
まじまじとその顔を見れば、
逃げてゆきしかな。
[it-k043] いつまでか
いつまでか、
この見飽きたる懸額を
このまま懸けておくことやらむ。
[it-k137] わが病の
わが病の
その因るところ深く且つ遠きを思ふ。
目をとぢて思ふ。