伴なりしかの代議士の
口あける青き寐顔を
かなしと思ひき
Category Archives: 短歌
[it-i199] 忘れがたき人人 – 一 (98)
きしきしと寒さに踏めば板軋む
かへりの廊下の
不意のくちづけ
[it-k096] 何となく自分をえらい人のやうに
何となく自分をえらい人のやうに
思ひてゐたりき。
子供なりしかな。
[it-i030] 煙 – 一 (30)
おどけたる手つきをかしと
我のみはいつも笑ひき
博学の師を
[it-i130] 忘れがたき人人 – 一 (29)
さりげなき高き笑ひが
酒とともに
我が腸に沁みにけらしな
[it-i163] 忘れがたき人人 – 一 (62)
わが去れる後の噂を
おもひやる旅出はかなし
死ににゆくごと
[it-i031] 煙 – 一 (31)
自が才に身をあやまちし人のこと
かたりきかせし
師もありしかな
[it-i171] 忘れがたき人人 – 一 (70)
今夜こそ思ふ存分泣いてみむと
泊りし宿屋の
茶のぬるさかな
[it-i176] 忘れがたき人人 – 一 (75)
いたく汽車に疲れて猶も
きれぎれに思ふは
我のいとしさなりき
[it-i090] 煙 – 二 (43)
あはれかの男のごときたましひよ
今は何処に
何を思ふや